不動産のお話59(斜線制限:道路斜線制限①基本的ルール)

斜線制限は、高さを規制するためのルールです。ある点から斜めに線を引き、その範囲に建物が収まるように設計します。
斜線制限は、「道路斜線」「隣地斜線」「北側斜線」の三種類です。
道路斜線は、基本的にどこでも適用。
隣地斜線は、低層・田園以外適用。
北側斜線は、低層・田園・中高層エリアのみ適用。
今回は、斜線制限のうち「道路斜線制限」についてお話しできたらと思います。


道路斜線制限の基本的なルール


「道路斜線制限」。これは、道路の採光や通風が確保されるように、道路に面した建物の一定部分の高さを制限しているものです。道路だけでなく、周辺の建物の採光や通風の確保も目的とされています。

※家やビルなど建物を建てるとき、自分の土地だからといって建築面積や高さなどを自由にできるわけではありません。「建築基準法」によるルールによってさまざまな制約を受けることになります。


わかりやすいように図を見てみましょう


道路斜線というのは、どのように引かれた「線」なのでしょうか。

建物は、こうして引かれた道路斜線を超えない高さで建てることになります。

※図のように、前面道路の反対側の境界線からの適用距離を超える部分は道路斜線の高さ制限を受けず、道路斜線の延長線上を超えて建物をつくることができます。用途地域や容積率、道路幅員などで道路斜線の角度や適用距離が違い、建てられる建物の高さや形が決まってきます。

【計算式】

道路の幅員(W) × 斜線勾配(1.25 or 1.5)≧ 建築物の高さ(H)

*****

★道路斜線を引く際のスタート地点★

道路斜線は「道路中心のレベル」から、斜めに発生します。

※「道路の中心」というところがポイントで、道路の端(路肩)や側溝付近の高さではないので注意してください。

土地(敷地)が面した道路(前面道路)の反対側の境界線

かつ、

前面道路の道路中心線の高さⒶ、

になります。

スタート地点から一定の勾配で土地(敷地)に向かって引いた線が道路斜線です。

*****

★斜線の勾配★

勾配は用途地域によって違います。用途地域の指定のない区域は、1.25 または 1.5 となり、それは特定行政庁が都道府県都市計画審議会を経て定められます。

住居系地域では1:1.25、

※第1種・2種低層地域、第1種・2種中高層地域系、田園地域、第1種・2種住居地域、準住居地域

商業系・工業系地域では1:1.5、

※近隣商業地域、商業地域、準商業地域、工業地域、工業専用地域、高層住居誘導地区内で住居部分≧2/3×全体延べ面積

この直角三角形でつくられる角度の勾配Ⓑで道路斜線が引かれます

※建物が建てられる空間は道路斜線の内側で、適用距離を超えた部分は道路斜線の高さ制限を受けません。


『道路幅員が一定でない敷地』の道路斜線の検討方法


道路幅員が敷地の前で斜めになっているような、一定の幅員ではない場合でも、道路斜線の原則は変わりません。

※道路斜線はあくまでも「道路の反対側の境界線から垂直に算定する」します!!!


用途地域によって異なる『適用距離』


『適用距離』とは、道路斜線の制限が適用される範囲のことです逆にいえば、敷地の中でも適用距離を超える範囲は、斜線制限がかからないということです。

適用距離(20m~50m)は、「用途地域」と「指定容積率」によって決まります指定容積率というのは、行政が地域ごとに定めた容積率の限度のこと。設計中の建物の容積率ではありません。

第一種低層住居専用地域 20m
第二種低層住居専用地域 20m

第一種中高層住居専用地域 25m
第二種中高層住居専用地域 25m

田園住居地域  30m
第一種住居地域 30m

第二種住居地域 35m
準住居地域   35m

近隣商業地域  20m~50m(指定容積率による)
商業地域    20m~50m(指定容積率による)

準工業地域   20m~35m(指定容積率による)
工業地域    20m~35m(指定容積率による)
工業専用地域  20m~35m(指定容積率による)

高層住居誘導地区内で、住居部分≧2/3×全体延べ面積  35m

用途地域の指定のない区域 20m~30m(指定容積率による)

≪要点≫
道路の採光や通風が確保されるよう建築基準法で定められているのが道路斜線制限
用途地域や容積率、道路幅員などで道路斜線の角度や適用距離が違ってくる
条件によってさまざまな緩和措置が適用され、家の規模や形の自由度が大きくなる

道路斜線が緩和になるルールがあります。次回はからいろいろな道路斜線の緩和ルールについてお話しできたらと思います。

 

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