今日の本197(さよなら、と嘘をつく)

おはようございます。今朝はものすごく寒かったですね。吐く息が白い。びっくりしました。まだまだ寒い時期が続きそうです。寒暖差にお気をつけください。
今日の本は、太田忠司さん、さよなら、と嘘をつく、です。
#kokkoさんの今日の本 #太田忠司 #さよなら、と噓をつく

【選ばれた行く末】
引っ込み思案の私は、女優を引退した母親とともに、地方の片田舎、沙ノ里に引っ越してきた。ある日迷い込んだ丘で、大木サノキ、を見つける。その気に寄り添うように立っていた白い着物を着た少女チヨと出会った。

「あなたはサノキに選ばれた人間だ」
と、チヨは言う。

私はチヨから成仏できない幽霊をあの世に送るお手伝いを頼まれた。
けれど、それはサノキの花が咲く年に一度だけ。
年に一度だけしかサノキを見つけることが出来ず、チヨとも会えない。

毎年チヨに会い、幽霊を成仏させるお手伝いをした。
毎年私は一年成長して大きくなるのに、
チヨは何年たっても、最初にあったときのまま成長しない。

6年目のある日。
チヨはサヨナラを言わなければならいという。
私は選択を迫られた。
大切な人か。大切な場所か。自分の夢か。

サノキに選ばれた時点で、
もう選択の余地なんてなかったのだろう。
本当の意味の自分の役割を知らされずに。
でも、毎年チヨに会いたくて会いたくて。
サノキの花が咲く時期を待ち遠しく思っていた少女の最後。

また歴史は繰り返される。
サノキが存在する限り。
ずっとずっと永遠に。

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