不動産のお話56(マンションの床面積①壁芯面積・内法面積)

前々回まで、床面積の種類についてお話してきましたが、一戸建ての場合のお話をメインにさせていただいたので、今回からは、マンションの場合の床面積のお話をできたらと思います。


壁芯面積・内法面積って同じじゃないの?


壁芯は「へきしん」または「かべしん」と読まれており、内法は「うちのり」と読まれています。壁芯面積と内法面積はいずれも建物の床面積を指しているのですが、同じ建物であるにも関わらず、この2つの面積の数値は相違します。それぞれの面積について詳しく説明しましょう。

内法面積とは?

内法面積とは、外部に面する壁の内側の面積のことです

この図でみれば、内法面積とは実際に使用できる有効スペースと考えることもできますね。内法面積はマンションの登記面積に使用されますが、この登記面積は登記事項証明書で確認することができます。登記面積との関係についての詳細は後述します。

壁芯面積とは?

壁芯面積とは、壁の中心線を囲んだ面積のことです。図のように、壁や柱の一部分が面積に含まれていますので、部屋の有効面積ともいえる内法面積よりも大きくなります。マンションのパンフレットに書かれている数字は壁芯面積が書かれていることが多いです。壁芯面積のみが表示されていることの方が多いため、実際の有効面積より小さいことを理解しておかないと購入してから後悔することもあります。※最近は間取り図のすぐ横に壁芯面積と内法面積の両方を記載していることもあります。なかなか親切な対応です、そういうマンションを選びたいですね。

販売図面は若干大きな面積で表記されている、ということを理解しておきましょう。

※上の図ではマンションの専有部をイメージしておりますが、一戸建てでも同じです。


壁芯面積と内法面積の差ってどのくらいなの?


ところで、実際のところ壁芯面積と内法面積でどれぐらいの差異があるのか気になりませんか?これらの差異は建物によって異なるため、だいたい概ね5%程度だと考えておきましょう(建物によってはもっと大きな差異が生じることもありますので確認はしましょう)。

※壁芯面積(パンフレット表示)で80平米であったものが、内法面積(登記面積)では76平米ということは十分に考えられる範囲です。


マンションの登記面積は内法面積


不動産登記規則の第115条(建物の床面積)

建物の床面積は、各階ごとに壁その他の区画の中心線(区分建物にあっては、壁その他の区画の内側線)で囲まれた部分の水平投影面積により、平方メートルを単位として定め、一平方メートルの百分の一未満の端数は、切り捨てるものとする。

壁芯面積が登記上の床面積となるわけです。

しかし、「区分建物にあっては、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積」とも記載されています。区分建物とはマンションのことであり、内側線で囲まれた部分とは内法です。つまり、マンションの専有部分の登記については内法面積を採用するのです。

登記面積:
マンション等(区分建物) → 内法面積
一戸建て → 壁芯面積


マンションの住宅ローン控除は内法面積を確認すること


住宅購入時に住宅ローンを利用するならば、誰もが住宅ローン控除(=住宅借入金等特別控除)という制度を利用して税金の優遇を受けようとしますね。この住宅ローン控除を受けるための要件の1つに、「床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものであること」というものがあります。

「床面積は、登記簿に表示されている床面積により判断します。」とされています。登記事項証明書で確認できる面積なわけですが、マンションの場合は前述の通り内法面積となります。

※パンフレットや物件資料で、51平米と記載されているから大丈夫だろうと思っていたら、内法面積は50平米未満だったというケースが実際にありますから、際どい床面積の物件を購入するときには登記事項証明書で数値を確認するようにしてください。

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