今日の本228(サンタクロースの嘆き)

おはようございます。今日はすっきり晴れて、沈んだ心も少しは晴れればいいなぁと思います。
今日の本は、赤川次郎さん、サンタクロースの嘆き、です。
#kokkoさんの今日の本 #赤川次郎 #サンタクロースの嘆き

【弟を守らなければならない】
しのぶが、真っ先に考えたことはそれだった。
両親の不在の夜に、誰かが家の中に忍び込もうとしている。
そう気が付いたら、十四歳の少女が考えることは、
「どうしてこんなときにお父さんもお母さんもいてくれないのよ!!」
でもしのぶは、「弟を守らなければならない」と考えた。
これは褒められてもいい事なのだろうと思う。

侵入者が階段を上ってくる。
ドアの真正面にいる。
階段のきしむ音が、二階の床を踏む乾いた音に変わった。
いまだ!!!
ドアを大きく開けて、突進した。
両手を前へ突き出して、侵入者にぶつかった。
気が付くと侵入者はみごとに階段を転がり落ちていった。
そして、うごかなくなった。

忍び込んできた人物は、季節外れのサンタクロースだった。
本当にサンタクロースがいるなんて思ってもないけれど。
その人物は、大きな大きな布袋を持っていたからだ。
そして、袋の中にはおもちゃがたくさん。
ぬいぐるみ、ロボット、人形、少女漫画のキャラクターグッズ。
あふれんばかりに、ひしめき合っている。

二人は、これ、を隠すことにした。
誰も知らないんだし、勝手に入ってきたし。
二人が黙っていれば、誰にもわかんないよ。
そしてサンタクロースは埋められた。
誰も知らない山の奥へ。
知らないふりをしておけば、誰も気が付かない。
はずだった。。。のに。

問題だったのは、大きな布袋の方だった。
もっと言えばおもちゃの方だった。
それを巡って、思いもかけないトラブルに巻き込まれていく。

子どもが知らない世界。
それを知ってしまった。
もう自分の中の「子ども」は戻ってこないだろう。
目に涙がこもる。
大人になったことが嬉しいのか。
子どもでいられなくなったことが悲しいのか。

子どもが大人になる瞬間。
自分の中の子どもを見送る瞬間。
きっと誰もが通過するその瞬間。
あなたはいつ、自分の中の子どもとさよならしましたか?

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