今日の本185(空飛ぶタイヤ)

おはようございます。昨日群馬県の国道で、走行中に左側後輪の冬用タイヤ2本が外れ、1本が中央分離帯や反対車線を越え、約500メートル先の歩道まで転がり、男性に衝突したそうです。タイヤの直径は1mほどで重さは100キロほど。それが後ろから時速40キロほどでぶつかったそうです。大動脈解離や肋骨骨折などの重傷で、病院に搬送。県警はダンプの運転者から事情を聴くなどし、脱輪の原因を調べているようです。実はこのような事故は実は多いようです。11月から2月にかけてタイヤをスタッドレスタイヤに履き替えた1か月以内に起こるのが毎年200件近くあります。ダンプなどの大型車はタイヤを履き替えた後50~100キロの慣らし走行し、その後、再度ボルトの締め直しが必要なのだそうです。後方左タイヤの脱落が多いのは、右折時にスピードを落とす車が少ないためボルトが緩みやすくなるため、だそうです。整備不良か車両の不具合か。そんなタイヤ脱落事故を題材にした本を本日紹介いたします。
今日の本は、池井戸潤さん、空飛ぶタイヤ、です。800ページを超す長編ですが一気読み必須。財閥系巨大企業のリコール隠しの罪と罰を題材としています。主人公は事故を起こした中小企業の運送会社社長。会社を守るため、社員を守るため、家族を守るため、巨大企業に立ち向かいます。映画化、ドラマ化されています。
#kokkoさんの今日の本 #池井戸潤 #空飛ぶタイヤ

【決して風化することのない、君の記憶】
君は静かな人でした。
幸せそうな君を見ていると、僕まで満たされた気分になったものです。
ぼくが悩んでいるときは、いつも一緒にいてくれた。
つらいときには「がんばってね」っていうんじゃなくて、
沈んでるぼくの手をずっと握って寄り添ってくれる。
そんな温かい人でした。
ぼくは今も、そんな君が大好きです。

飛んだ、飛んだ!
私たちも、あんなふうに遠くへ飛べるかな。
風に乗って飛んでいく紙ヒコーキ。
あの時見せた君の笑顔は、ぼくの宝物です。
永遠の宝物です。

なのに。。。。
なんて悔しいんだろう。なんて悲しいんだろう。
やさしかった君。いつも微笑んでくれた君。
君のことを決して忘れない。いつでもぼくたち一緒です。
ずっと一緒です。
さよならは言わない。
君のこと、愛してる。

亡くなったのは、今年三十三になる若い主婦、柚木妙子。
その主婦を、赤松運送のトレーラーが轢いた。
正確に言えば、トレーラーから外れたタイヤが飛んだ。
それが、歩道を歩いている主婦を直撃したのだ。

申し訳ありません。という言葉を今日一日で何度口にしただろうか。
悔やんでも悔やみきれなかった。
赤松運送が起こしたタイヤ脱落事故は、幸せだった親子の夢を一瞬にして打ち砕いたのだ。

【追悼文集:紙ヒコーキ】
もしかみさまにひとつだけおねがいするなら。
もういちど、ママとおはなしさせてください。
ゆぎ たかし
拙い、お母さんと手をつないでいる男の子の絵。
空を睨み付けて心の中で叫んだ。
よりによって、なんでこの人なんだ、と。

整備不良なのか。車両の不具合なのか。
メーカーであるホープ自動車による調査報告は「整備不良」。
警察や国交省の調べでは「整備不良はなかった」との判断。
赤松運送にしても整備不良は納得がいかなかった。

財閥の常識、世間の非常識。
財閥の論理、世間のわがまま。
構造上の欠陥。
一件のタイヤ脱落事故だけで、認めるわけにはいかない。
商品の欠陥は大企業であるこの会社を否定すること。
たかが中小企業。いつ潰れるかもしれない弱者。
そんな奴らが噛みついてきた。
大企業をなめんなよ。どんな手を使ってもぶっ潰す。

赤松運送は、大企業に喧嘩を売った。
とうてい勝ち目のない闘いだと思われる喧嘩を。
世間だってどっちが正しいかなんて大企業がミスをするなんて思わない。
世間はどうして素直に非を認めないのかと赤松運送を叩く。
それでも。
それでも。。
ぜったい引くわけにはいかない。
うちはちゃんとやっていたんだ。
このままほおって置けば、また同じような悲しい事故が起きかねない。

つらい時、人はそれがいつかは終わると確信しているから強くなれる。
だが、いつ終わるとも知れない戦いがもたらすものは、絶望と脱力だ。
わかっている。
でも、立ち止まるわけにはいかない。
前に。前に。前進しなければならない。
いつか必ず、この苦しい闘いが終わる。
終わらせてみせる。
俺が闘わなくて、誰が闘うんだ。
無謀といわれようと、ぜったいに真相をつかみとる。

自動車会社、銀行、警察、記者、被害者の家族ら、事故に関わった人たちの思惑と苦悩。
リコール隠しの罪と罰。
運送会社の社長が家族・仲間とともに事故の真相に迫る。
大企業に打ち勝つことは出来るのか。

映画化。主演:長瀬智也

映画予告編。

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