今日の本230(窓の魚)

おはようございます。今朝もよく晴れましたね。まだお昼と夜の寒暖差があるので、体調にはお気を付けくださいませ。
今日の本は、西加奈子さん、窓の魚、です。
#kokkoさんの今日の本 #西加奈子 #窓の魚

【一枚の絵のような芸術的な死】
二組の恋人が寂れた温泉宿で一夜を過ごすお話。
静かなナツ、優しいアキオ、可愛いハルナ、無表情のトウヤマ。
それぞれに心に秘密を隠し、決して交わることなくおたがいに求めあう。
翌朝、ひとつの死体が発見される。

各々の視点で、同じ情景を四回以上読むことになる。
人が違うとこんなにも見える世界が違うのか。
こんなにも美しく儚く見えるものなのか。

花や池や錦鯉や牡丹・・・目の前にぱぁっと真っ赤な花開くかのよう。
ああ。綺麗だ。
何度思っただろう。
不謹慎かと思われるかもしれないが、本当に美しかったのだ。

抱えている秘密。
それは誰にだって大なり小なりある。
大事だったり知られたくなかったり別に隠す必要もなかったり。
人から見たらうらやむことが本人にとってはコンプレックスになってたり。
人ってわからないものだ。

表面だけの付き合いでわかった気になっている友人は友人ではない。
それは、単なる知り合いである。

十年以上もつれあって互いに阿吽の呼吸かと思ってた友人に、
自分がずっと言えなかったこと、
秘密にしていたこと、苦しかったこと、
泣きながら教えてくれた親友がいた。

誰にもゆったことがなかった大切だけれどつらい思い出。
突然すぎて、自分が何をその時ゆったのか覚えていない。
ただただ、愛おしい気持ちでいっぱいだった。
気がついたら黙って抱きしめていた。
泣き止むまで。落ち着くまで。

大都会、たくさんの人に見られたけれど、気にもとめなかった。
彼女は謝った・・・
ずっと言えなくてごめん・・・
ゆわなきゃと思ってたのにごめん、と。

私を選んでくれてありがとう・・
そう、答えたのだけは覚えている。

本当の友とは、誰のことを言うのだろう。
すごく沢山仲がいい友達がいる、そういう人のことは信じないようにしている。
そのうちの何人が、自分が本当に困ったときに、手を差し伸べてくれるだろうか。
そのうちの何人が、駆け付けてくれるだろうか。
身を挺して助けてくれる人が、いるだろうか。

ひとりでもいいと思う。
人生で真の友と呼べる人。
ひとりでも贅沢かもしれない。
そういう人が一人でもいるのなら、きっとあなたは幸せだと思う。

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