不動産のお話41(土地の評価額①路線価ってなに)

不動産の価値を決める基準となる指針には、「路線価」「基準地価」「公示地価」「実勢価格」があります。
今回は、「路線価」についてお話しできたらと思います。


路線価ってなに?


土地の価格の指標の一つである路線価は、主に相続税や贈与税、固定資産性の税額計算を行なうときに土地の価格を決めるために使われます。路線価を用いると土地の価格の相場を知ることができるので、不動産売買の際にも使える知識です。
「路線価」とは道路につけられた価格のことで、不動産の評価額を算出するための指標となります。具体的には、対象の不動産の土地が接している道路の路線価に、その土地の面積をかけ合わせて計算します。不動産売買をするにあたって路線価は非常に重要な数字です。

①売買相場の把握
路線価の仕組みを知れば、不動産売買をする際の相場の目安にすることができます。その戸建てやマンション、土地の価格が相場と比べて高いのか安いのかを適切に判断できます。
②評価方法を一律にする
路線価があると不動産の評価方法が一律になります。なぜそれが大切かと言うと、不特定多数の人々に不動産に関わる税金を課す際に、評価する決まりが一定で明確でないと不公平性が生まれてしまうからです。
③評価方法を分かりやすくする
不動産の評価方法を分かりやすくするというのも、路線価の大きな役割です。②に付随することでもあるのですが、課税の仕組みが複雑過ぎると評価者によって価格が変わる可能性があり、これもまた不公平につながってしまいます。路線価という指標があれば、各路線に価格を決めて、その土地の面積分を乗じるだけなので、算出方法を理解している人なら誰でも同じように計算できます。


路線価の種類


路線価は、「相続税路線価」「固定資産税路線価」とに分類されます。その名の通り、前者は相続税を決める基準となる路線価のことで、後者は固定資産税を決める基準となる路線価のことです。単に「路線価」と言う場合には、相続税路線価を指すのが一般的です。公示地価を指標として、相続税路線価はその80%程度、固定資産税路線価ではその70%程度を目安に決定されます。相続税路線価は国税庁、固定資産税路線価は市町村が定めることとなっています。

固定資産税路線価は国税庁公表の路線価図にて公表され、毎年7月上旬頃に更新されます。国税庁のHPを利用すれば、誰でも財産評価基準書路線価図や評価倍率表を閲覧できます。まずは国税庁のHPから路線価図を調べる方法は以下の通りです。

【路線価の調べ方】

1.国税庁HP内にアクセス。「路線価図・評価倍率表」のページを開く。https://www.rosenka.nta.go.jp/index.htm
2.地図上の都道府県名、あるいは地図の下に表示されている都道府県名をクリック。
3.都道府県ごとの目次にある「路線価図」を選択してクリック。
4.市区町村一覧として表示された中から、その土地がある市区町村名をクリック。
5.選択した市区町村内で、路線価が設定されている町もしくは大字の一覧が表示される。土地がある町または大字に記載の「路線価図ページ番号」をクリックで路線価図が閲覧できる。

※なお、地図を用いて路線価図を探すことも可能です。その場合は、町または大字の一覧画面で「この市区町村の索引図ページへ」を選択します。すると索引図が表示されるので、そこで土地がある場所を見つけてクリックし、路線価図を閲覧します。


路線価の読み取り方


次は、路線価図から路線価を読み取る方法です。路線価図では、その道路に面する土地1㎡あたりの価格が1,000円単位で表示されています。「300C」と記載されている場合、その土地の路線価は「300千円」、つまり30万円だということが分かります。

「300C」の「C」のように、路線価図では路線価を示す数値の末尾にA~Gまでのアルファベットがつけられています。このアルファベットは、土地の借地権割合を表したものです。借地権割合は土地の借主の権利部分を示すもので、借地権や貸家建付地、貸宅地の価格を計算する場合に用います。借地の場合は借地権の部分を控除する必要があるので、路線価のアルファベットが重要になります。
路線価のアルファベットはAからGまであり、それぞれの借地権割合は、A:90%、B:80%、C:70%、D:60%、E:50、F:40%、G:30%です。

★★面積150平方メートル、路線価200Dのケース★★
200Dなら借地権は60%なので、
3000万円×60%=1800万円
が借地権の評価額です。
土地の評価額である3000万円から借地権の部分を引くと
3000万円−1800万円=1200万円
です。これが借地の評価額となります。


私道に沿接する宅地の評価


路線価を調べようと思ったけれども、自宅前の道路には数字が書いてなかった!!!という方もいらっしゃると思います。自宅前の道路が行動ではなく私道の場合、表記されないことが多いです。その場合はどうしたらいいのでしょうか?


[令和3年4月1日現在法令等]
相続税や贈与税の申告のために、路線価地域内において、路線価の設定されていない道路のみに接している宅地を評価する必要があるときには、税務署長に対して特定路線価の設定の申出をすることができます。この設定の申出により、税務署長が特定路線価を設定した場合には、この特定路線価を路線価とみなして、その道路のみに接している宅地を評価します。
なお、例えば、次の図のように特定路線価を設定した場合には、A、B、C及びD土地の価額は特定路線価により評価しなければなりませんが、E土地やF土地の価額の評価に当たっては、この特定路線価に基づく側方路線影響加算を行う必要はありません。
【路線価がない土地の価額を計算方法】
固定資産税評価額×倍率(概ね1.1倍)=その土地の価額

路線価図で特徴的だと言えるのは、シンプルな地図の路線上に路線価を示す数値が記載されている点、そして路線価を示す数値が円や四角形などの図形で囲まれている場合がある点です。このような図形は、土地の地区区分を示すものです。図形の一部が塗りつぶされていたり、網掛けされていたりすることもあります。

図形によって、その土地の地区区分がビル街地区か高度商業地区か、あるいは繁華街地区なのかなどが分かります。図形がなければ、それは普通住宅地区です。一部の塗りつぶしや網掛けの有無によって、その地区区分の適用範囲が一目で把握できるようになっているのです。

そんな時には、一般財団法人資産評価システム研究センター運営の「全国地価マップ」を利用するのも一つの方法です。https://www.chikamap.jp/chikamap/Portal?mid=216

全国地価マップでは、市区町村の指定や郵便番号の入力のみで、路線価が地図上ですぐに表示されます。表示された範囲に調べたい土地がない場合は表示範囲を移動させることもできるので、路線価図に1つずつ目を通す必要がありません。


路線価からの実際の取引価格は?


路線価はその土地を相続取得したときにかけられる相続税を算出するときの土地単価を表示しています。 110Dとは、その土地1㎡当たり110,000円という事。路線価は公示地価を参考に設定され、その80%程度になるのが通例なので、実際の取引価格は路線価の2割アップくらいです。 これに地形・向き・間口・地籍などで補正したものが相場でしょう。路線価は、基準地価の80%程度になるのが通例です。


次回は、「基準地価」についてお話しできたらと思います。

※補足・まとめ※

公示地価:土地を売買する際の適正価格の指標であり、土地が売買される際は公示地価を参考に価格が設定される
基準地価:土地を売買する際の適正価格の指標であり、固定資産税評価額の指標にもなる(固定資産税評価額は基準地価の約80%)
路線価:地の相続税や贈与税を算出する際に役立てられ、公示地価の約80%を目安に設定される

公示地価 国:国土交通省:一般の方などが土地を売買する際の適正価格の指標
基準地価:全国各地の都道府県:一般の方などが土地を売買する際の適正価格の指標
路線価:国税庁:土地の相続税や贈与税を計算する際に役立てられる

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