今日の本210(漁港の肉子ちゃん)

おはようございます。暑かったり寒かったり。週末は寒くなりそうですが、明ければ本格的な春になりそうですね。保育園や児童クラブではフライングですが、今日から新学年です。今日から一つ、お兄さん、お姉さん、ですね。頑張ってください。

今日の本は、西加奈子さん、漁港の肉子ちゃん、です。映画化されています。
#kokkoさんの今日の本 #西加奈子 #漁港の肉子ちゃん

【みんな望まれて産まれてきたんやで】
肉子ちゃんは、私の母親だ。わたしとは似ていない。
本当の名前は喜久子だけど、太っているから、皆が肉子ちゃんと呼ぶ。

肉子ちゃんは、人間関係の始め方、下手くそだ。
相手が自分のことをどう思うのか、
どんな風に接すれば空気が変に震えないのか、
そういうこと、全然考えない。
こんにちは、をキチンと言わないまま、
ずけずけと人のテリトリーに入っていく。

誰の前に出ても、いつも全力で「肉子ちゃん」。
そんな肉子ちゃんが羨ましくてまぶしい。

私、望まれて産まれてきたんじゃないから。

私はいつもそうだった。
自分が楽になる方ばかりを選んだ。
攻撃するより、攻撃されることを選んだ。
自分から攻撃することは決してしない。
先回りして、予防線を張って、何も起こらないように逃げた。

できるだけいい子にして。
できるだけ迷惑をかけないようにして。
「望まれて産まれてきたんじゃない」
と言われないように、生きてきた。

私、望まれて産まれてきたんじゃないから。

そう言ったら、本気で怒られた。
生きている限りは、迷惑かけるん、ビビってちゃだめだ。
生きている限りは、恥かくのを、怖がっちゃだめだ。

いくら頑張っていい大人になろうとしても。
ちゃんとした大人なんてものは、いないんだ。
辛い思いや恥ずかしい思いは絶対に絶対にすることになる。

だから。
子どものうちにいっぱい・・・
恥かいて、迷惑かけて、怒られて、傷ついたりして、
それでも、生きていくんだ。

先回りして、
恥かかないように、迷惑かけないように、
なんて考えなくていいんだ。

おまえは、望まれて産まれてきたんだ。
絶対に、望まれて産まれてきたんだ。

いつだって明るくて、皆に慕われてる肉子ちゃん。ここまで笑い声が聞こえてきそう。
くよくよしていた涙だって、その笑い声でなんてことないって思えそうな、そんな豪快で優しい、東北のとある小さな漁港の焼肉屋さんで働く、肉子ちゃんとその娘キクちゃんと、その周りを取り巻く、優しい人たちのお話です。

映画化されています。

映画予告編。

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