今日の本208(舟を編む)

おはようございます。小春日和です。ぽかぽかと暖かく過ごしやすい日になりそうです。ウクライナの大統領の日本に向けたメッセージは、とてもマイルドで、日本が法律で武器を渡したり武力を派遣したりできないことをきちんと理解した上での発言内容だったと思います。その国ごとにできることとできないことがあり、その中でのできる支援を国ごとに変えて求めた内容で、その国ごとの国民にとても響く内容だったと思われます。はやくこの戦争が終わることを祈ります。
今日の本は、三浦しをんさん、舟を編む、です。映画化されています。
#kokkoさんの今日の本 #舟を編む #三浦しをん

【まじめって面白い】
辞書は必ずしも万能ではない。
かゆいところに手が届ききらぬ箇所があるのも、
頑張ってる感じがして、とてもいい。
完全無欠でないからこそ、
辞書を作った人たちの努力と熱意が伝わってくる、
そんな気がする。

辞書作りって、何年がかり?というくらい途方もない時間と労力がいるんです。
何万語という言葉の用例収集カードが、作られ、保管され、選別され、
採用となった単語だけが、辞書に載るんです。
それは全て、手作業で行われます。
一語一語、言葉を編む人の思いが込められているんですね。

まじめさーん、お客様です。
はい、まじめですが。

なんですと!?
本人も自覚する真面目だと?
自分を真面目だと言ってのける臆面のなさ。

彼が取り出した名刺には。。。
株式会社玄武書房 第一営業部
馬締 光也

まじめ、みつや・・・
はい。まじめです。
彼との出会いはそんな感じだった。

君は「右」を説明しろ、と言われたら、どうする?
方向としての右ですか?思想としての右ですか?
前者だ。
ペンや橋を使う手の方、というと左利きの人を無視することになりますし、
心臓のない方、といっても心臓が右側にある人もいるそうですし、
「体を北に向けたとき、東に当たる方」と説明するのが無難ではないでしょうか。

彼の回答はこんな感じだった。
まじめ君、君は辞書作りに向いている。
君の力を、「大渡海」に注いでほしい。
「大渡海」は辞書編集部で作ろうとしている、新しい辞書の名前だ。

何かを生み出すためには、言葉がいる。
はるか昔、地球を覆っていた、生命が誕生する前の海。
混沌とし、ただうごめくばかりだった液体。

ひとのなかにも、同じような海がある。
そこに言葉という落雷があって、すべてが生まれる。
愛も、心も。
言葉によって象られ、昏い昏い海から浮かび上がる。

言葉は知っていても、
自分のものになっていない言葉を正しく解釈はできない。
辞書作りに取り組むものにとって大切なのは、
実践と志向の飽くなき繰り返しだ。

言葉は、言葉を編み出す心は、
権力や権威とは全く無縁な自由なものであるべきだ。
そうあらなければならない。
自由な航海をする全ての人のために編まれた船。
そういう辞書に「大渡海」がなるように。

大海原に出る舟を編む。
太古から未来へと綿々とつながる魂を乗せて、豊饒なる言葉の大海をゆく船を。
辞書が完成しても、編纂に終わりはない。
時代とともに言葉も変わっていく。
希望を乗せ、大海原をゆく船の航路に果てはないのだ。

普段なにげなく使っている辞書。
辞書の重さ。重たいのは当たり前だ。
何万語一言一言考え抜かれた言葉の重みの集合体なのだから。
たかが辞書。されど辞書。
とてつもない多くの時間と労力の賜物なのである。

辞書はどうやって作られるのか。
どんな風にできあがっていくのか。
どんな苦労があって、どんな充実感があるのか。

好きでなきゃ辞書作りはできないだろう。
出来上がったときはもっともっと好きになる。
そんな辞書作りのお仕事の現場のお話です。

映画化。

映画予告編。

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