不動産のお話43(土地の評価額③公示地価ってなに)
不動産の価値を決める基準となる指針には、「路線価」「基準地価」「公示地価」「実勢価格」があります。
今回は、「公示地価」についてお話しできたらと思います。
公示価格って何?
地価公示法という法律に基づいて、都市計画区域内外で設定された公示区域の1月1日時点の正常な価格を調査・公表する制度を地価公示といいます。この地価公示によって公表される価格を公示価格といいます。わかりやすく言えば、公示価格とは国土交通省の土地鑑定委員会によって決められた標準地の1平方メートル当たりの1月1日時点における価格のことです。これは毎年決められて、3月中旬ごろに発表されます。毎年、新聞に掲載されているので、ご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
公示価格は、土地取引の指標
土地はそれぞれ、面積や形状、利用法が違います。また、多くの人はさまざまな事情や動機のもと、土地取引をしています。そのため、土地取引ではその土地の使用目的や取引をする人の事情などが絡み合って、価格が左右されがちです。そのため、土地取引を行う際は、その土地を客観的に判断し、適正な価格を求めるための指標が、公示価格です。
公示価格は、国土交通省の土地鑑定委員会によって決められます。まず全国の都市計画区域などで目安となる地域の標準的な土地を標準地として選びます。次に2名の不動産鑑定士がそれぞれに標準地を鑑定し、最新の取引事例やその土地を取引した際に想定される収益などを分析して評価します。その上で算出された数値を調整し、公示価格を決定するのです。公示価格はその土地を更地として評価した正常な価格です。建物の有無や借地などの土地の使用状況は、価格には関係ありません。
公示価格は、土地取引の際の指標となるだけでなく、相続税評価や固定資産税評価、不動産鑑定、企業会計における資産の時価評価にも活用されています。
公示価格の読み取り方
国土交通省のサイト「土地総合情報システム」では、公示価格(地価公示)を調べることができます。また、市区町村の役場等や図書館でも閲覧することができます。https://www.land.mlit.go.jp/landPrice/AriaServlet?MOD=2&TYP=0
地価の変動から読み取るメリット・デメリット
地価が上昇傾向にある場合、住宅価格も上昇していくため、買主は条件のよい物件があると高くならないうちに購入しようとします。そのため、売主にとって売りやすい時期といえます。また、地価が上昇する地域は利便性のある人気の地域が多いので買い手がつきやすく、売主にとっては好条件となります。
反対に、地価が下落傾向にある場合は、住宅価格も下降気味です。利便性のよい地域なら買い手がつきやすいですが、地方の不便な地域の場合は、売れ残る可能性があります。そのため、売りにくい時期といえます。
公示価格~2021年(令和3年)の傾向は?
2021年1月1日には、全国で26,000地点の標準地において公示価格が決まり、同年3月に発表されました。この公示価格からは、2020年(令和2年)1月1日以降の1年間で、地価にどのような動きがあったのかを読み取ることができます。その動向は下記の通りです。
全国全用途平均0.5%下落、6年ぶりのマイナス
全国平均では、全用途平均は平成27年以来6年ぶりに下落。用途別では、住宅地は5年ぶり、商業地は7年ぶりに下落に転じ、工業地は5年連続の上昇。また、変動率マイナスは住宅地が38都府県、商業地が39都府県に広がりました。
昨年と比較した下落幅は、用途別では住宅地よりも商業地が大きく、地域別では地方圏よりも3大都市圏の方が大きいです。工業地は上昇こそしていますが、いずれも上昇率は縮小しています。昨年後半は落ち着いていたものの、新型コロナウイルス感染拡大や緊急事態宣言発令の影響により、全体的に弱含みの結果となりました。
緊急事態宣言発令の影響から、訪問客の減少によって収益が低下している地域や、飲食店が集積している地域の下落が目立つ結果となりました。
※補足※
公示地価:土地を売買する際の適正価格の指標であり、土地が売買される際は公示地価を参考に価格が設定される
基準地価:土地を売買する際の適正価格の指標であり、固定資産税評価額の指標にもなる(固定資産税評価額は基準地価の約80%)
路線価:地の相続税や贈与税を算出する際に役立てられ、公示地価の約80%を目安に設定される
公示地価 国:国土交通省:一般の方などが土地を売買する際の適正価格の指標
基準地価:全国各地の都道府県:一般の方などが土地を売買する際の適正価格の指標
路線価:国税庁:土地の相続税や贈与税を計算する際に役立てられる
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