不動産のお話38(自分の家が火元になったら・・・)

もし、自分の家が火元になったら?そんな不安ありませんか?

そのために火災保険に入っている人は多いと思います。ですが、自分の家が焼ける想像しかしていませんでしょうか?家が燃えると消防署が水をかけて消火活動します。そうすると隣地の家に火がうつったり水浸しになったりします。そのことを”失火””もらい火”、といいます。そのときに、賠償を求められるケースもあるんです。

基本的に火災保険は、自分の家の保障だけになります。他の家のことは保険の内容に含まれていないことが多いです。そういうときどうしたらいいでしょうか?


不法行為による損害賠償


民法(第709条)によると、

故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う

とあります。

言い換えれば、相手の不法行為によって損害を被った場合、被害者側は加害者側に対して損害賠償ができることになります。

では、”もらい火”による火災の場合も不法行為として、火元の住人に損害賠償請求できるでしょうか?


失火責任法


実は・・・・

隣地などからの失火が原因の自宅などの家事の場合、法律の定めにより、原則として損害賠償はできません!!!!

失火責任法によると、

民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニ之ヲ適用セス

但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラズ  とあります。

※隣地からのもらい火では、隣地の責任を追及できません。ですので、オール電化で火元がないから火災保険に入らなくで大丈夫、自分の家から火は出ない、ではなく、もらい火のことも頭に入れて、そのときに泣き寝入りすることがないよう、きっちり火災保険に入っておきましょう。

※賃貸の場合は、これに当てはまらず、大家さんから賠償請求されますので、火事には気を付けましょう。

気を付けなければならないのは、過失ではなく、”重過失”の場合です。

【重過失の判例】

・石油ストーブの火を消さず給油した

・強風・乾燥注意報が出ているのに建築中の木造家屋の屋根にタバコを捨てた

・つけっぱなしの電気コンロに毛布がかかった

・火災注意報が出ているのに庭で焚火をした

・てんぷら油が入った鍋をコンロにかけたまま長時間その場を離れた

・寝タバコをした

「失火ノ責任ニ関スル法律」但書の規定する「重大ナル過失」とは、通常人に要求される程度の相当な注意をしないでも、わずかな注意さえすれば、たやすく違法有害な結果を予見することができた場合であるのに、漫然これを見過ごしたような、ほとんど故意に近しい著しい注意欠如の状態を指すものと解すべきである。と最高裁の判例にあります。

よって上記のようなケースの場合、重過失が認められて損害賠償請求が認められる可能性があります。


火災保険で損害賠償責任を保険でカバーするには?


【過失のみの場合】

自宅が火元になり隣地が燃えてしまったり、消火活動による水濡れ被害を与えてしまった場合、法律上の賠償責任が生じなかったとしても「お見舞い」だけで済ませられますか?

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「類燃保障特約」で補償!!!

類燃先の火災保険で十分に復旧できない場合、その修繕費用の不足分を補償する特約です。

【重大な過失があった場合】

出火原因について上記のような重過失があった場合は、法律上の賠償責任を負担しなければなりません。その場合の補償は?

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「個人賠償責任特約」で補償!!!

被保険者の日常生活に起因する偶然な事故により、他人にケガをさせたり、他人のものに損害を与えたことによる法律上の損害賠償責任を補償する特約です。


今回は、火事、についてお話いたしました。自分の家はきっちりしているから大丈夫、と思っていても、隣地から思わぬもらい火をもらうこともあるということを念頭に入れておきましょう。その時に基本的には隣地からの補償はないこと、自分で補修費用を払わないといけないこと、を覚えておきましょう。また、自分の家が火元になった場合は、過失か重過失かで、隣地に対する補償がかわってくること、もし重過失の場合は法律上の損害賠償の責任がかかってくることを、よく覚えておいてください。

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