不動産のお話23(相続は争続)
今回は相続についてお話しできたらと思います。家を購入するにあたって、これは財産となり、いずれは子どもに引き継がれる・・・そう思っている方、不動産があるから大丈夫、ではだめなんです。
親が死んだとき、子どもは必ず「相続」という問題に直面します。現金がなくて、不動産はある、そういう場合に恐ろしいことが起こることがあります。「相続税は期日までにキャッシュで支払わないと、サラ金並みの恐ろしい利息がかかってくる。ウチは金持ちじゃない、不動産がある、などと油断してはいけません」
「相続は”争続”」
相続人が多ければ多いほど、財産の分割をめぐって親族間でもめる原因となります。「通夜の席で兄弟や親族がカネのはなしでケンカし始めた」なんてよく聞く話ですが、実際に皆さんの身内で起こりかねないことなのです。
現在は民法が改正されたため、生存に親の介護をした貢献分をきちんと請求できるようになっています。介護施設に支払った費用、自宅介護にかかった諸費用などは、相続の時に精算が可能です。介護にかかった費用などの明細や領収書などは揉めないためにキチンと残しておき、諸経費を家計簿なり会計ソフトなりできっちりつけておいたほうがよいです。ざっくりいくらくらいかかったとかだと相手も納得しないでしょう。親の介護を始めた段階からきちんと記録をつけておき、実際にかけた労力や人件費、経費が「全損」にならないようにしましょう。
相続税をキャッシュで支払えない人に待つ「サラ金並みの利息」
10か月にわたる「相続地獄」を経て、すべての書類が整うと、税務署に相続税の申告をする日がやってきます。申告の結果、課税対象になった場合は、相続税を期日までに支払わないと、延納(分割払い)となり、年利6%前後の利息がかかってきます。
税金は現金で期限内に納付することが原則です。しかし、相続税の金額が非常に高額になった場合の対処法としては、まずは延納が認められます。そして延納でも支払うことが難しい時に、初めて物納制度を利用することが可能です。物納は税額が高額で、相続する人によっては現金がほとんどなくて、土地や建物などの不動産ばっかりという人もいるために設けられた制度です。物納のデメリットは、物納する財産は一般的に取引される時価ではなく、相続税で評価した価格で計算されるため、かなり低い金額で処分をすることになります。
最後の手段として、「不動産を売却して資金を確保する」があります。不動産を売却して譲渡益が生じた場合は、その利益は譲渡所得となり譲渡所得税が課税されます。相続した財産を相続税の申告期限の翌日から3年以内(相続が発生してから3年10ヵ月以内)に譲渡をすれば、取得費に相続税額の一部を加算することができる「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」の適用を受けることができます。
デメリットとして、相続税の支払い期限は相続があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内ですので、この制度を利用して現金で支払うということは、10ヵ月以内に不動産を売却する必要がありますので、かなり急がなくてはならないことです。これはかなり短期間で売らなければならないので、かなり難しいと言えるでしょう。あわてて不動産を売ろうとしても間に合わない、ということです。
庶民にとって深刻な「基礎控除4割削減」打撃
2015年から相続税の基礎控除が4割引き下げられました。
それまでは、1回の相続で「5000万+法定相続人1人当たり1000万」でしたが、
法改正の結果、基礎控除は「3000万+法定相続人1人当たり600万」へ。実に4割の削減です。
万が一の時、子どもに負担がかからないように、不動産があるから大丈夫、ではなく、キャッシュもある程度おいておき、相続税対策もしておきましょう。
不動産があるから大丈夫、ではありません。せっかく手に入れたマイホームを手放さないためにも、備えておきましょう。
#不動産のお話 #相続 #争続
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