不動産のお話61(斜線制限:道路斜線制限③緩和ルール其の二)

斜線制限は、高さを規制するためのルールです。ある点から斜めに線を引き、その範囲に建物が収まるように設計します。
斜線制限は、「道路斜線」「隣地斜線」「北側斜線」の三種類です。
道路斜線は、基本的にどこでも適用。
隣地斜線は、低層・田園以外適用。
北側斜線は、低層・田園・中高層エリアのみ適用。
今回は、前回に引き続き、斜線制限のうち「道路斜線制限」についてお話しできたらと思います。


敷地の条件や周辺環境によって、道路斜線制限が緩和されます


今までお話ししたのは道路斜線制限の基本的なルール。それに加えて、道路斜線制限にはいくつかの緩和ルールがあります。どんな緩和があるのでしょうか。前回に引き続き、見ていきましょう。


2面道路の場合の緩和


複数の道路に接している敷地の場合は、道路斜線はどうなるのでしょう。

2以上の道路に面している場合、狭いほうの道路が緩和措置を受けられます。2面道路の場合の緩和が受けられる範囲を出してみましょう。まず幅が広いほうの「道路Aの幅の2倍かつ35m以内の範囲」、そして幅が狭いほうの「道路Bの中心線から10mを超える部分」を出します。

オレンジ色の部分を合わせた範囲(下図のオレンジ色の部分)が、道路斜線制限を検討するときに、道路幅員を幅が広いほうの道路Aとして計算できる部分です。幅の狭い道路Bを前面道路としている部分の道路斜線の起点に、幅の広い道路Aの幅が使われるため、道路斜線による高さ制限が緩和されることになります。

立体的に表したものは、こんな感じになります。


1.25緩和〈道路幅員が12m以上の場合の緩和〉


道路幅が12m以上ある前面道路の場合、道路の反対側の境界線から「道路幅×1.25」分入った場所から、緩和措置が適用になります(用途地域が第一種・第二種低層住居専用地域以外で適用)。

住居系地域では道路斜線の勾配の角度は「1:1.25」です。しかし、前面道路の幅員(幅)が12m以上ある場合、1.25緩和と呼ばれる緩和措置が適用になります。
「道路幅×1.25」よりも土地の内側の範囲では、道路斜線の勾配の角度がより急な「1:1.5」に緩和されるものです。緩和が適用される範囲では、緩和措置がない場合よりも建物が高く建てられることになります。


建物の高さに含めないモノもある


!!アンテナや煙突などは建築物の高さに算入しない!!

道路斜線などで建物の高さの上限が決められますが、高さに算入しなくてもよい設備がいくつかあります。アンテナや避雷針など小規模な建築設備や建物と一体化した煙突、開放性の高い手すりなどのほか、規模などの条件をクリアしている太陽光発電設備です。また、高さに算入しない限度は、絶対高さ制限が定められた地域では5mまで、それ以外では12mまでとなっています。

≪要点≫
道路の採光や通風が確保されるよう建築基準法で定められているのが道路斜線制限
用途地域や容積率、道路幅員などで道路斜線の角度や適用距離が違ってくる
条件によってさまざまな緩和措置が適用され、家の規模や形の自由度が大きくなる

なお、ほかにも絶対高さ制限、隣地斜線制限、北側斜線制限、日影規制が建物の高さの上限値を決定します。自分の土地にどんな大きさ、高さ、形の家が建てられるかは、これらのルールが影響します。

またそれらは、次の機会にお話しできればと思います。

コロナ感染症対策

コロナ感染症対策として検温・マスクの着用・手指の消毒等のご協力をお願いいたします。万全の対策をしてお待ちしています。ご安心してご来場・ご来店ください。