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今日の本39(幻坂)

2020年7月31日

おはようございます。昨日は夕方、雨もですけれど、雷がすごかったですね。事務所も一瞬停電になったので、すごくびっくりしました。すぐ復旧したので良かったですけれど、外の雨の降りようは見ていて怖かったです。夏のゲリラ豪雨を思い出させる雨でした。
今日の本は、有栖川有栖さん、幻坂、です。
♯有栖川有栖 ♯幻坂

大坂にある七つの坂。清水坂、藍染坂、源聖寺坂、口縄坂、真言坂、天神坂、逢坂。大坂は南北に細長い基本的にのっぴりした平坦な地やけど、たま~に坂もある。七つの坂にまつわるお話の短編集。
私も出身は大坂のキタ、どっちかってゆうとほぼほぼ京都寄り、大阪弁と京都弁が入り混じった地域。京都寄りやけど、山に移管限り坂があったイメージがあんまりない。兵庫県に越してきて、芦屋や西宮の山手の方とか、ほんまに上手いこと坂のとこに家を建ててはるなぁ・・と関心した覚えがございます。
坂には色んな人の色んな思いが詰まっている場所。毎日登ったり降りたりの日常。坂がメインの題名にあるように幻がつきもので、つまりは霊にまつわるお話でございます。自分の想い人やったり、成仏できん霊やったり、そこは色々ですね。
「愛染さんパラパラ」そういう言葉が出てきて可愛い響きの言葉やなぁと思いました。パラパラゆうんは、雨がパラパラやとかゆうんですけれど、つまりは雨がちょっと降ってる(小雨)という意味。愛染さんパラパラは、愛染坂で想うてる男女が雨にパラパラ降られたら、両方の想いが叶うってゆう、なんとも可愛らしい伝承。~さん、ってつけるのも大坂っぽいですね。太閤さんとか。けっこうなんでも、~さん、ってつけるかもしれない。
作家さんが関西出身やからか、舞台が関西方面が多いのも、関西出身としては嬉しい。あ、ここの土地知ってるわ、ここはあそこがモデルになってるんちゃうかな、とか、読んでいて親近感がわいてくるのも楽しみなところ。
短編集なので、これは好きやなぁ、これはあんまり好みでないなぁ、これはよぉわからんなぁ、これは怖すぎやわぁ、とか、お話によって評価は分かれるけれど、一個でもええお話を見つけたられたらその本はええ本なんやと思います。お気に入りのお話見つけてくださいね。

今日の本38(レイジ)

2020年7月30日

おはようございます。今年は七月は台風ゼロかもしれませんね。観測史上初らしいですよ。梅雨明けも八月にずれ込みそうですね。今年は季節の境目がわかりにくいですね。
今日の本は、レイジ、誉田哲也さん、です。
♯誉田哲也 ♯レイジ 

全てはここから始まる。俺たちはどこへでも行ける。本気でそう思った。震えるほどの予感が、このときは確かにあったんだ。
自分は全能になったような感覚。幼いとき感じたあの感覚。失敗など恐れず、ただただ高みだけを見つめて突き進む。跳躍。背中に羽が生えたように、どこまでも飛べそうな高揚感。あの感覚はいつのまにか消えていた。大人になるとともに、どこかに忘れてきてしまった。普通のレールを見つけ、それに流されただ毎日を生きる。右ならえ。大人であるために安定を得るために己を殺して生きていく。
けど俺はいつまでも追い続けた。ストイックと言えるまでに。
スーツよりも楽器のケースを選んだ。
月給より創作を選んだ。
安定よりもむしろ不安の正体を暴きだす道を選んだ。
残った己たった一人で。曲を作り続けた。誰に聞かせるまでもない唄を・・・・。
でも、気がついたんだ。聴き手のない音楽なんて存在しないって。一人きりで唄っていたって心の中では誰かに向かって唄っているものだって
そう気が付いたのはもう三十も手前で、そう気がついたのは仲間も離れていったあとで、そう気がついたのは一番嫌いだったやつの言葉からだった。
長かった・・・・孤独だった。
音楽を嫌いになってしまいそうなまでに、、追い込まれた。
でも自分が閉じていただけだったんだ。頑なになっていた。
気がついて緩んで周りが見えて。世間には音楽が溢れていた。
昔自分が作った音楽が、自分の知らないところで楽しそうに流れていた。一番自分が全能だと思っていたとき。どこだって行けると信じていたとき。その時の唄が流れていたんだ。
また唄えるよと。
楽しいと思えたなら、仲間に気を許せたら、きっとまた飛べる。どこまでも。

今日の本37(人形家族)

2020年7月28日

おはようございます。まだぐずぐずと雨が降ったりやんだりのお天気ですね。今日も降る予報ですが、今のところ曇りです。傘をお忘れなく。
今日の本は、木下半太、人形家族、です。映像化されている作品も多い作家さん。クセもあるので好き嫌いがわかれるかもしれませんが、お話の展開の仕方が大どんでん返しが多く、最後に裏切られた~と思うこともしばしばで、どの作品もハラハラドキドキしますよ。
#人形家族 #木下半太 #幻冬舎文庫

赤羽健吾ことバネは、喧嘩っ早い熱血バカ刑事。捜査一課だったが、現在所属は行動分析課。上司は超美人だが性格に難あり、悪魔のような分析力で難事件を次々と解決している、警視庁では恐れられている人物。上司に下僕のように罵倒され使い倒され、走り回る日々。
頭の回転は弱いが、喧嘩だけは誰よりも自信があるバネ。伝説の刑事と謳われた祖父に「自分より強いやつに勝て、弱いやつに勝っても何の意味もあらへん」、と今だと逮捕され刑務所行き確実の、超スパルタ教育を受けたおかげだ。相手が強ければ強いほど勝たねばならない、それが信条だ。
前作では「アヒルキラー」こと連続殺人犯で現場にアヒルの人形を置いていく犯人を捕まえたが、今回は「マネキンキラー」。幸せな家族をモチーフにターゲットとともにマネキンを一緒に現場に置いていく連続殺人犯だ。
お父さん。お母さん。お兄ちゃん。お姉ちゃん。僕。
自分の失った家族を完全に取り戻すためにターゲットを次々と手にかけていく。手にかけていく前に必ず、朝食、昼食、夕食、とその人が大好物のものを食べさせる。自分で調理する手の込みようだ。夕食を食べ終わったら、家族になれる。
シリアルキラーは自分の中の美学やルールーを決して曲げない。それが自分の身を危険にさらすものであってもだ。彼が求めたものを手に入れるまで決して妥協しない。
このお話で怖いところは、最後に殺人犯が捕まって終わり、ではないところ。シリアルキラーがシリアルキラーを生む。連鎖していく。犯人自体もシリアルキラーの連鎖で生まれたシリアルキラーというところ。シリアルキラーがシリアルキラーを憎み犯行を模倣し、シリアルキラーに復讐する。
新たなシリアルキラーになるのは誰??
【作品からの豆知識】
ゴキブリは食器用洗剤をかけると一撃で倒せます。体にある気管に洗剤が入り込んで、皮膚呼吸ができなくなるそうです。ゴキジェットがなくても食器用洗剤はある家庭が多いと思うので、Gがでて困ったときは食器用洗剤を使ってみてください。

今日の本36(夢違)

2020年7月25日

おはようございます。まだまだ梅雨が明けませんね。例年よりだいぶ遅いようです。お洗濯も乾きにくいので大変です。
四連休いかがお過ごしでしょうか?外出自粛をされている方も多いと思います。楽しみにしていた旅行を我慢してやめられた方もいらっしゃるかと思います。少し気晴らしに外に出たいな・・・と思われている方、オープンハウス開催中です!!コロナ対策の為、お電話でご予約の上ご見学にいらしてください。よろしくお願いいたします。
今日の本は、恩田陸さん、夢違です。

「夢は外からやってくる」
夢を変える方法を教えて。
ずっと考えてた。
現実でも夢の中でもずっとずっと考えてた。
自分の見る恐ろしい夢を変える方法。良い夢に変えられたらどんなにいいだろう。
ずっと考えてた。
なぜ自分は未来の夢を見るの。
悲劇を止めることはできないの。
ずっと考えてた。
「夢は外からやってきて、どこへ行くのだろう」
予知夢を見てずっと苦しんでいた彼女はある日突然いなくなった。生きているのか、死んでいるのか。わからない。
彼女の影響を受け、夢を記録した「夢札」それを解析する「夢判断」を職業にした僕。彼女は生きている気がする。漠然とした存在を感じる。
会いたい。会いたかった。君のそばにいたかったんだ。ただただそれだけだったんだ。
消えた彼女。
探す僕。
いつか会えるなら、会えたなら、もう離れない。

今日の本35(虚ろな十字架)

2020年7月21日

おはようございます。今日はものすごく暑いです!!朝起きたら汗びっしょり!!頭痛がする!!!ということありませんでしたか?熱中症に気を付けてください。朝起きる一時間前にクーラーがかかるように入りタイマーの設定すると、目覚めも良いですよ。
今日の本は、東野圭吾さん、虚ろな十字架です。日本の裁判制度に疑問を投げかけた作品です。とても考えさせられました。
#虚ろな十字架 #東野圭吾 #光文社文庫

日本の裁判制度、特に死刑制度がお話の根底にあります。
ある夫婦の娘が一人で家で留守番していたときに、空き巣が入り見つかってしまう。顔を見られたと思った焦った空き巣は子供を扼殺してしまう。両親も警察も必死になって犯人を探すが中々見つからない。しかし別件で逮捕されたことで犯人が捕まる。
裁判で極刑を望むが、日本では死刑判決は中々でない。死をもって償うのではなく、きちんと反省して更生し罪を償わせようとする傾向にある。ただ殺人の再犯は50%にものぼる。本当に刑務所は更生機関として機能してるのか疑問だ。出所してから7割以上が再就職できず困窮するのも要因といえる。
控訴し、証拠をあつめ、夫婦は死刑を獲得する。犯人は裁判に疲れたといいどーでもいい気持ちになったのだろう控訴もせず死刑を受け入れた。死刑が決まってからは反省の色も消え、償いの意思もなくなったという。
どちらが遺族によって良い結果なのだろうか?わからなくなった。

●生きて苦しんで罪を忘れず償いをしていくこと。遺族の恨みは消えるのか?

●死刑を受入れて死ぬこと。でも死ねばそこで終わりだ。それで遺族が救われるのか?

前者のパターン‥聞いたことがある話です。交通事故で息子さんを亡くされた。もう何年もきっと十年以上も前。加害者の方は毎月命日に欠かさず訪問される。最初は戸惑っただろう。どうして・・・と憎いと思っただろう。それでも続けてこられた。どちらもすごいなと思った。今は完全に許すまではいっていないかと思う。ただ時間がかなりたった今・・・家から出てくるとき和やかな顔だった。

誠心誠意をもって償えば、辛い時期も恨んだ時期も通り過ぎていくのかもしれない。長い長い時間がかかったとしても。

今日出かけるのやめない?

2020年7月17日

政府が打ち出したGotoキャンペーン。22日からの四連休にお出掛けしましょう!!というキャンペーンです。コロナ終息後にやるといわれていたので、コロナが増え始めた時期にするのは少し怖い気がしますね。
三密をさけて、週末のお家時間、家族一緒に楽しめることに打ち込んでみてはいかがでしょうか?外出時にはマスクをお忘れなく。

今日出かけるのやめない?たまにはお家で読書でも。たまにはお家で映画でも。たまにはお家でお菓子作りやお料理を皆で。たまにはお家で寝過ごすのも。たまにはのんびりだらだらしてもいいじゃないですか。たまには自分にご褒美を。頑張っている自分をほめましょう。

★オープンハウス開催中です★
コロナ対策の為、お電話で日程お時間をご予約の上、ご来場ください。
ではよい週末を!!!

今日の本34(スマホを落としただけなのに)

2020年7月16日

おはようございます。ぐずぐずのお天気が続いていましたが、カラっと晴れましたね!!これから夏に向かっていくのでしょう。空の雲も夏の雲になってきています。気分も一新ですね。
今日の本は、シリーズ化、映画化第一弾第二弾もされている、スマホを落としただけなのに、志駕晃さん、です。デビュー作で映画化はすごいですね。映画も良かったんですが、原作は細かい描写が背中に汗を流させる感じでスリリングでした。
#映画化 #デビュー作 #スマホを落としただけなのに #志駕晃 #宝島社 #このミス大賞 #このミステリーがすごい

TAXIで彼氏がスマホを落としたことから始まるお話です。スマホあるあるですね。
ところで、スマホなくしたことありますか?私は一度あります。近所の病院で忘れてきちゃって、看護師さんがすぐに拾ってくれてたから助かったけど、受け取るまでは冷や汗ものでした( •̀ㅁ•́;)パスコードはかけてたけど、スマホと一緒にカバーに免許証とかカード類も入ってたから危なかった。キャッシュレス進んでるので財布持つのが面倒でそうしてた‥全部持ち歩くの怖くなりました。なので、依然と同じくスマホとお財布は別々にしています。
スマホは善意の人が拾ってくれ彼氏の代わりに自分が取りに行くのですけれども、すでにそこから狙われていた主人公。黒髪ロングの女性ばかりを狙った連続殺人犯。巧妙な知的犯罪者。一台のスマホから芋づる式に情報を抜き取っていく。Facebookで休眠状態の知人に成りすまし、どんどん距離を縮めていく。Facebookの情報でこんなにも危ない目に合うとは‥Facebookの乗っ取りも、スマホの監視も、実はやろうと思えばいとも簡単にやれるんだと読んでて怖かったです。
読んでる途中で、私は急いでFacebookのセキュリティを強固にしたり、使ってないアプリや使ってないサイトの会員の退会手続きなど済ませました。読んでいたら、そうせずにはいられなかった!!!身近にリアルにありそうな描写で、あ、ヤバいよね、って思わされる。そんな簡単に色々情報取れるんだ、ってやり方をホントにわかりやすく書いていますし、読んですぐに多少パソコンに強い人ならホントできますね。
犯人はブラフも多くて絶対この人!!という自信はラスト近くまで持てないところもハラハラドキドキです。あれ犯人捕まった‥ここで終わり?かな?と思ったらまだ続きがあったり、主人公の秘密に驚きがあったり、でも最後に救いの一文があって良かった。とても読みやすい文章、引き込まれる文体、色々な発見があった作品でした。
豆知識:「わ」で始まる車のナンバーはレンタカーです。

今日の本33(相棒)

2020年7月14日

おはようございます。梅雨も終盤ですね。このまま雨が降り続くと土砂災害が広がりそうです。止んでくれることを祈ります。
今日の本は、五十嵐貴久さん、相棒、です。珍しいかな歴史ものです。時は幕末。新選組と海援隊の超有名なあの人物たちのお話です。
#相棒 #五十嵐貴久 #PHP文芸文庫

「いいか、伊東。一つだけ教えてやろう。てめえが殺したのは坂本じゃねえ。この国の明日だ。てめえが斬ったのは、そういう男だったんだよ」
新選組副長土方歳三、海援隊坂本龍馬、二人に下された命令は、大政奉還が迫る中、徳川将軍暗殺未遂を侵した下手人を探せ、というものだった。
国を壊して開けた新しい国を欲する坂本、新選組を幕府の存続を何より大事に思う土方。性格も、立場も全く違う二人。そんな二人が相棒と想い合うまで、たった数日、命の綱渡りの下知を一緒に供用した時間、それはその後の二人の考え方すらもかえてしまうような、ありえないくらい奇妙な時間だった。
龍馬が新しい国を欲する理由も彼らしい。国が開ければ、海へ出て、商売をする。政治なんかに興味はない。諸外国を相手に海運事業するんぞ。こんなに面白いことがあるかと。
土方は、新選組がなくなるとしても、最期は戦場でいかに華々しく散るかが重要であった。だが龍馬と過ごし、新選組が後世に語り継がれることを切に願うようになる。自分たちが確かに存在した。その事実を。
龍馬が太陽なら、土方は月のようだった。二人が酒を飲み交わし、あの頃はああだったな、と冗談めかして喋れる日が来たのなら、どんなにか良かったのに。大声で笑う二人が目に見えるようだ。
歴史上で輝いている人物は、決してブレない。一貫してブレない人がカリスマとなる。龍馬も土方もその一人だろう。

今日の本32(ぼくは明日、昨日のきみとデートする)

2020年7月10日

おはようございます。子供の夜の急な咳き込みや発熱にはびっくりしますね。今はコロナで救急病院も熱がそこまで高くなければ、自宅で様子を見て、日中病院にかかるようにと言われます。応急処置は教えていただけますが、感染拡大予防もわかるのですが、当事者にとっては一刻も早く診てほしい・・・と思いますね。子供が辛そうならなおさらです。病院にかかるだけでも大変な時代になったのだなと実感です。
今日の本は、映画化もされている、ぼくは明日昨日のきみとデートする、七月隆文さんの作品です。最後に涙、涙、必須です。とても奥深い作品でした。原作も映画も良いですよ。
#ぼくは明日昨日のきみとデートする #七月隆文 #宝島社 #映画化

最後にきっと涙する。深い深い愛情に。こんなにも惹かれ合う二人に。きっと祈るだろう。幸せになって欲しいと。
「ぼくはきみに命を救われて」
「わたしはあなたに命を救われて」
今だけ。今だけなの。わたしたちが同じ年齢でいられるのは。5年に一度だけ会える。彼と彼女をへだたてるもの。まるで七夕物語の織姫と彦星のよう。
ぼくはぜんぜんわかってなかった。どれだけせつなくさせてしまったんだろう。最後だから‥何も言わずに泣いていた君。最後だから‥涙もろいと嘘をついていた君。最初なのに‥最後。どんなに残酷でも‥一緒にいたかった。隣にいたかった‥ただただそれだけ‥そんな頑張る君に会ってきたんだ。
僕たちはすれ違ってなんかない。端と端を結んだ輪になって繋がっているんだ。二人で一つの命なんだ。ぼくは君のことを心から尊敬する。そして心から愛してる。

今日の本31(クライマーズハイ)

2020年7月9日

おはようございます。雨が続いていますね。九州の方は被害が凄くびっくりしました。川の氾濫は怖いですね。近年雨や台風の予測はできにくくなっているようです。自然の力には勝てないのだなと、実感。いざという時の為に最低限は防災対策をしたほうがよさそうだなと思いました。
今日の本は、横山秀夫さんの、クライマーズハイ、です。有名なあの飛行機事故のお話です。
#クライマーズ・ハイ #横山秀夫 #文春文庫

下りるために登るんさー。いつか息子と登るために。そう言った友人と衝立岩を登る約束をした。
約束の日を待たずに、あの事故が起こった。日航ジャンボ機123機が群馬県上野村山中の御巣鷹山に墜落、一瞬にして520人の命が散った。
クライマーズ・ハイ。興奮状態が極限まで達して、恐怖心が麻痺してしまう現象。もっと恐ろしいのは、クライマーズ・ハイが溶けた時。心の中に溜め込んでいた恐怖心が一気に噴き出す。岩壁を攻めている途中で溶けてしまったら、そこからもう一歩も動けなくなるのだ。
日航の事故の詳細な情報を遺族に届けるため、自衛隊の後について、何人もの記者が山を登った。急峻な瓦礫の谷を滑落同然に何度も降り、水も食料も持ち合わせがなく、フィルムケースで泥水を飲んだ。背丈より高い熊笹の密生地を進み、崖を這い上がってようやく現場に辿り着いた。ようやく現場に辿り着くと、そこは遺体を踏まずに歩ける場所がなかった‥。クライマーズ・ハイ。現場を見てきた記者の目の輝きは普通ではなかった。壊れたスピーカーのように延々と現場の悲惨さを克明に語り続けた。現場が収束したあと、クライマーズ・ハイが溶け、崩れ落ちた者も少なくなかっただろう。
事故が起きた当時、私は小さく何も知らなかった。何年も後に公開されたボイスレコーダーの肉声に震撼し、新聞に載っていた遺書、小さな紙の端切れに走り書きされたのは「パパは本当に残念だ」「さようなら」「子供たちのことをよろしく頼む」「本当に今迄は幸せな人生だったと感謝している」「しっかり生きろ」「立派になれ」‥最期の言葉がこんなにも短い‥悔しかったろう‥もっと伝えたいことがあったろう‥悔し涙が出た。
命の重さ。どの命も等価。だがメディアが人を選別し、等級化し、命の思い軽いを押し付けてきた。偉い人の死。そうでない人の死。かわいそうな死に方。そうでない死に方。遺族にとっては、どんな死に方をしても、悲しみの深さは変わらない。
今のコロナもそうだ。有名な人は皆に悲しがれ、そうでない人は数字の1でしかないのだ。数字の1でしかない人にも、情報を伝えたい、地方の新聞は全国紙よりもその気持ちが強い。520のうちの1、その1が集まって520だ。その1の詳細の情報を一人でも多くの遺族に伝えるために奔走した、地方新聞記者たちの物語です。

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