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今日の本47(落下する夕方)

2020年9月12日

おはようございます。昼間はまだまだ暑い日が続いていますが、秋が感じられる時間も増えてきました。この週末はすこし雲が広がるようですが、お家時間を家族で楽しみましょう。
今日の本は、江國香織さん、落下する夕方、です。落下する夕方は、一人の女性がゆっくりゆっくり時間をかけて失恋していく物語です。
♯江國香織 ♯落下する夕方 ♯映画化

同棲していた彼が突然家を出た。好きな人ができたんだと言ってあっという間だった。それと入れ替わるように家に押しかけてきたのは、彼が好きになった彼女:華子だった。なぜか華子と暮らす羽目になった自分。
「帰る場所がなかったの」
華子の言葉には余分なものが一切くっついていない。どのくらい寂しく響いたか、はっきりとわかったから、出て行けと言えなかった。一緒に暮らすうちに、華子の不思議な魅力に取りつかれていく自分がいた。
華子は綺麗だった。透明で子供っぽくてつかみどころがない。華子がいると、物が奇妙に息づいてしまう。壁もテレビも鉢植えも、何もかもゆるゆると生気を放つのだ。それで部屋の中がジャングルのような微熱を持つ。華子自身はいつもごろごろと眠ってばかりいて、およそ生気とは縁のない様子の人だから、とても奇妙なことだった。
自由奔放な華子。彼女を誰もが好きになる。そして誰もが振り回され、ゆるゆると壊れていく。自分だけのものには絶対にならない存在。でも手に入れたい存在。憎いのに憎み切れない存在。華子に悪気はない、彼女に心を奪われた者は皆、口をそろえてそういう。
「帰る場所がなかったの」
答えを求めてあちこち放浪する華子。今でも帰る場所がないというのだろうか。彼女はどこへ行きたいのか。彼女は幸せなのだろうか。彼女に恋い焦がれた人たちは、彼女を心底心配し、最期には自分を選んでほしいと切望する。華子の行きつく場所はいったいどこなのだろうか。

華子役は菅野美穂さん。読んだ後にキャストを見ると、イメージにぴったり、と思いました。つかみどころのないフワフワした存在。華子をいかに演じるかが重要になってきます。この物語のキーマンはやっぱり華子。彼女なくしてこの物語は成立しません。

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