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ミステリーの原則「ノックスの十戒」「ヴァン・ダインの二十則」

2020年9月4日

おはようございます。台風十号が近づいていますね。最初の進路より西にずれたので、兵庫県はあまり影響はなさそうですが、風は強くなると思うので、念のため傘をさして歩くときなどお気を付けください。
普段本を読むとき、どんな風に読んでいますか?短時間で読めてしまう本、さらっと流し読みして終わった本、難しくて読み進むのを諦めてしまった本、などなど、いろいろあります。読者側からしたら膨大な量の中の一冊の本ですが、実はものすごく考え抜いて書かれている筆者の姿が背後にあったりします。一冊の本を書くために、たくさん取材をしたり、文献を調べたり、前後に矛盾がないかどうかチェックしたり、膨大な時間と労力を一冊に込められています。それをたまに思い出して本を読んでみると、面白いですよ。
ジャンルで言う、「ミステリー」には守るべき法則があります。最近ではアンフェアなものが好まれる傾向もありますが、本格ミステリーでは以下を守って、読者が犯人を推理できるように、考え抜いて書かれています。
有名どころでは「ノックスの十戒」「ヴァン・ダインの二十則」があります。ほかにもたくさんありますが、有名どころ二つをご紹介します。

【ノックスの十戒】
(1)犯人は物語の序盤に登場していなければならない。
(2)探偵方法に超自然能力を用いてはならない。
(3)犯行現場に秘密の抜け道や扉を用意する場合、2つ以上作ってはならない。
(4)未知の薬物や、一般人が理解しづらい難解な化学技術を用いてはならない。
(5)中国人を登場させてはならない。
(6)探偵は偶然や勘で事件を解決してはならない。
(7)探偵自身が犯人であってはならない(犯人に変装するなどの場合は除く)。
(8)探偵は読者に明かしていない手がかりによって事件を解決してはならない。
(9)探偵の助手にあたる人物は、自身の判断を読者に知らせなければならない。
(10)双子や一人二役の人物を出す場合、存在をあらかじめ読者に伝えなければならない。
【ヴァン・ダインの二十則】
(1)事件の謎を解く手がかりは、全て明白に記述されていなくてはならない。
(2)作中の人物が仕掛けるトリック以外に、作者が読者をペテンにかけるような記述をしてはいけない。
(3)不必要なラブロマンスを付け加えて知的な物語の展開を混乱させてはいけない。ミステリーの課題は、あくまで犯人を正義の庭に引き出す事であり、恋に悩む男女を結婚の祭壇に導くことではない。
(4)探偵自身、あるいは捜査員の一人が突然犯人に急変してはいけない。これは恥知らずのペテンである。
(5)論理的な推理によって犯人を決定しなければならない。偶然や暗合、動機のない自供によって事件を解決してはいけない。
(6)探偵小説には、必ず探偵役が登場して、その人物の捜査と一貫した推理によって事件を解決しなければならない。
(7)長編小説には死体が絶対に必要である。殺人より軽い犯罪では読者の興味を持続できない。
(8)占いや心霊術、読心術などで犯罪の真相を告げてはならない。
(9)探偵役は一人が望ましい。ひとつの事件に複数の探偵が協力し合って解決するのは推理の脈絡を分断するばかりでなく、読者に対して公平を欠く。それはまるで読者をリレーチームと競争させるようなものである。
(10)犯人は物語の中で重要な役を演ずる人物でなくてはならない。最後の章でひょっこり登場した人物に罪を着せるのは、その作者の無能を告白するようなものである。
(11)端役の使用人等を犯人にするのは安易な解決策である。その程度の人物が犯す犯罪ならわざわざ本に書くほどの事はない。
(12)いくつ殺人事件があっても、真の犯人は一人でなければならない。但し端役の共犯者がいてもよい。
(13)冒険小説やスパイ小説なら構わないが、探偵小説では秘密結社やマフィアなどの組織に属する人物を犯人にしてはいけない。彼らは非合法な組織の保護を受けられるのでアンフェアである。
(14)殺人の方法と、それを探偵する手段は合理的で、しかも科学的であること。空想科学的であってはいけない。例えば毒殺の場合なら、未知の毒物を使ってはいけない。
(15)事件の真相を説く手がかりは、最後の章で探偵が犯人を指摘する前に、作者がスポーツマンシップと誠実さをもって、全て読者に提示しておかなければならない。
(16)余計な情景描写や、脇道に逸れた文学的な饒舌は省くべきである。
(17)プロの犯罪者を犯人にするのは避けること。それらは警察が日ごろ取り扱う仕事である。真に魅力ある犯罪はアマチュアによって行われる。
(18)事件の結末を事故死や自殺で片付けてはいけない。こんな竜頭蛇尾は読者をペテンにかけるものだ。
(19)犯罪の動機は個人的なものが良い。国際的な陰謀や政治的な動機はスパイ小説に属する。
(20)自尊心(プライド)のある作家なら、次のような手法は避けるべきである。これらは既に使い古された陳腐なものである。
 ・犯行現場に残されたタバコの吸殻と、容疑者が吸っているタバコを比べて犯人を決める方法
 ・インチキな降霊術で犯人を脅して自供させる
 ・指紋の偽造トリック
 ・替え玉によるアリバイ工作
 ・番犬が吠えなかったので犯人はその犬に馴染みのあるものだったとわかる
 ・双子の替え玉トリック
 ・皮下注射や即死する毒薬の使用
 ・警官が踏み込んだ後での密室殺人
 ・言葉の連想テストで犯人を指摘すること
 ・土壇場で探偵があっさり暗号を解読して、事件の謎を解く方法

中には、ん??と思う項目もありますが(ノックスの十戒の五番、中国人を登場させてはならない、など)、原作を読み解くうえでは必要な配慮が多いです。土壇場で筆者に反則技を使われると、読者はじゃあ今までの話は何だったんだ!?と幻滅してしまうこともあります。
なんとなくミステリーを読んでいる方も、一度原則をあらためてみると、違った読み方ができるかもしれませんよ。
本は読みません。という方も、ドラマは見る方も多いでしょう。ドラマの展開を考えるうえでも、上記の原則は役に立つと思いますよ。

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