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2020年9月10日

今日の本46(OUT 上下巻)

おはようございます。朝夕と涼しくなってきて秋めいてきましたね。夜はエアコンがいらないくらいです。過ごしやすい季節になってきて嬉しいです。長袖をださないと少し肌寒いかもしれません。そろそろ衣替えもしないといけないですね。

今日の本は、OUT、桐野夏生さん、です。深夜の弁当工場で働く共通点のない主婦四人が、あることをきっかけに急速に接近し、どんどん落ちて行ってしまうお話です。映画化、ドラマ化、舞台化されています。
♯OUT ♯桐野夏生

ミステリーには守るべき法則がある。前回ご紹介した「十戒」や「二十原則」などです。ミステリーはいわば筆者と読者の知恵比べ。最後まで読者をだませるかどうか。最後までに犯人を言い当てることができるかどうか。楽しみの醍醐味の一つです。
しかし、この本では「動機」が完全に欠落しています。説明することすら放棄されている。それを踏まえたうえでお読みになるのが良いかもしれません。
お話は、深夜の弁当工場で働く、境遇も性格も違う、働く時間しか接点のない4人の主婦のお話です。深夜の肉体労働を選ばざるを得ない境遇だった・・・共通するのはそのただ一点のみ。選ばざるを得なかった仕事は、出世もなく昇給もなく蓄えができるほど高賃金でもなく(昼勤の1.25倍)、ただ日々を生きながらえることが可能になるだけだった。ある日を境に接点の薄い4人の世界が複雑に交錯していく。
未来への希望もなく、ただ同じ毎日を繰り返す。世の主流から外れた「OUT」な場所に沈み込んでいる。「OUT」の世界からどうすれば脱出することができるのだろうか。
見えかけた出口。塞がりかけているのだけはわかる。そこを突破することだけ考え、自分しか信じない。どんなに綺麗ごとをいったとしても、最期に頼れるのは自分だけだ。人生には、突然何もかも変わる日がやってくる。今日がその日かもしれない。
抜け出せるとも思っていなかった「OUT」の世界。抜け出すということを考える気力を削がれなくしてしまう「OUT」な世界。一度沈めば容易には浮き上がることができない「OUT」な世界。
沈んで浮き上がれなくなって、藻搔き苦しみ、世界に絶望したとしても、自分の欲しかった自由がどこかに絶対あるはずだ。せっかく見つけたドアが、背中で閉まったのなら、新しいドアを見つければいい。歩き続けるしかないんだ。自分だけのドアを見つけるまでは。

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