LFORT BLOG

2020年7月9日

今日の本31(クライマーズハイ)

おはようございます。雨が続いていますね。九州の方は被害が凄くびっくりしました。川の氾濫は怖いですね。近年雨や台風の予測はできにくくなっているようです。自然の力には勝てないのだなと、実感。いざという時の為に最低限は防災対策をしたほうがよさそうだなと思いました。
今日の本は、横山秀夫さんの、クライマーズハイ、です。有名なあの飛行機事故のお話です。
#クライマーズ・ハイ #横山秀夫 #文春文庫

下りるために登るんさー。いつか息子と登るために。そう言った友人と衝立岩を登る約束をした。
約束の日を待たずに、あの事故が起こった。日航ジャンボ機123機が群馬県上野村山中の御巣鷹山に墜落、一瞬にして520人の命が散った。
クライマーズ・ハイ。興奮状態が極限まで達して、恐怖心が麻痺してしまう現象。もっと恐ろしいのは、クライマーズ・ハイが溶けた時。心の中に溜め込んでいた恐怖心が一気に噴き出す。岩壁を攻めている途中で溶けてしまったら、そこからもう一歩も動けなくなるのだ。
日航の事故の詳細な情報を遺族に届けるため、自衛隊の後について、何人もの記者が山を登った。急峻な瓦礫の谷を滑落同然に何度も降り、水も食料も持ち合わせがなく、フィルムケースで泥水を飲んだ。背丈より高い熊笹の密生地を進み、崖を這い上がってようやく現場に辿り着いた。ようやく現場に辿り着くと、そこは遺体を踏まずに歩ける場所がなかった‥。クライマーズ・ハイ。現場を見てきた記者の目の輝きは普通ではなかった。壊れたスピーカーのように延々と現場の悲惨さを克明に語り続けた。現場が収束したあと、クライマーズ・ハイが溶け、崩れ落ちた者も少なくなかっただろう。
事故が起きた当時、私は小さく何も知らなかった。何年も後に公開されたボイスレコーダーの肉声に震撼し、新聞に載っていた遺書、小さな紙の端切れに走り書きされたのは「パパは本当に残念だ」「さようなら」「子供たちのことをよろしく頼む」「本当に今迄は幸せな人生だったと感謝している」「しっかり生きろ」「立派になれ」‥最期の言葉がこんなにも短い‥悔しかったろう‥もっと伝えたいことがあったろう‥悔し涙が出た。
命の重さ。どの命も等価。だがメディアが人を選別し、等級化し、命の思い軽いを押し付けてきた。偉い人の死。そうでない人の死。かわいそうな死に方。そうでない死に方。遺族にとっては、どんな死に方をしても、悲しみの深さは変わらない。
今のコロナもそうだ。有名な人は皆に悲しがれ、そうでない人は数字の1でしかないのだ。数字の1でしかない人にも、情報を伝えたい、地方の新聞は全国紙よりもその気持ちが強い。520のうちの1、その1が集まって520だ。その1の詳細の情報を一人でも多くの遺族に伝えるために奔走した、地方新聞記者たちの物語です。

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