今日の本179(サウスバウンド)

おはようございます。昨夜はすごい雨でしたね。雨の音が凄くてなかなか寝付けず、ちょっと寝不足です。
今日の本は、奥田英朗さん、サウスバウンド、です。映画化されています。
#kokkoさんの今日の本 #奥田英朗 #サウスバウンド

【うちの家族はちょっとヘンだ】
小学六年生になった長男である僕の名前は二郎。父の名前は一郎。
誰が聞いてもその名づけ方は変わってるって言う。
父が会社員だったことはない。
物心ついたころからたいてい家にいた。
父親とはそういうものだ、と思っていたら、
よその家はそうでないことを小学生になって知った。
父は元過激派で、今でも騒動ばかり起こす。
が、普通なはずの母も元過激派だったんだ。

うちの家族はちょっとヘンだ。
訂正。
うちの家族はかなり変わってる。

子どもでいることは本当に損だ。
外を出歩くにも、いちいち制限がかかる。
学校がある時間帯や深夜の時間帯、街中を歩いていたら補導されてしまう。
家出をしようにもすぐ引き戻される。
子どもであるが故、僕が決死の覚悟でやった家出は数時間で終わった。

【誰が決めたんだ、子どもは学校へ行けって】
父が言った。
日本は義務が多すぎる。義務教育なんていい迷惑だ。
日本人だからといって、なぜ国に属さねばならないのか。
税金なんてくそくらえ。年金なんて払う義務などない。

東京で騒動をおこした父のせいで、東京を追われることになった僕ら。
ある朝、母が僕らに言った。
「我が家は、沖縄の西表島に引っ越すことにしました」と。
「あなたたちは永遠に親のものではないので、自立できると判断した時点でひとり立ちしても構いません。ただ、十五歳までは一緒にくらしましょう。だから、今現在の友達とは、いったんお別れです」と。
その二日後には家財道具一切合切処分して、スーツケース三つだけで家族四人(父・母・僕・妹)西表島に立っていた。

空が青かった。
海の色が一色じゃなかった。
沖縄の人は優しかった。分け与える精神が自然と根付いていた。
だから暮らしには困らなかった。

世間はなんて小さいんだ。
世間は歴史も作らないし、人も救わない。
正義でもないし、基準ではない。
世間なんて戦わない人を慰めるだけのものだ。

相変わらずハチャメチャな親だけれど。
今度は何をしでかすのかとハラハラするけれど。
ここにきてよかった。
そう思えた。
パパとママの間に生まれてきてよかった。
自然と思えたんだ。

コロナ感染症対策

コロナ感染症対策として検温・マスクの着用・手指の消毒等のご協力をお願いいたします。万全の対策をしてお待ちしています。ご安心してご来場・ご来店ください。