今日の本97(ナモナキラクエン)

おはようございます。昨日からなんだが花粉症??眠くてぼーっとして目がしょぼしょぼ。鼻もムズムズ。これが花粉症かぁ・・・けっこうツライですね。
今日の本は、小路幸也さん、ナモナキラクエン、です。東京バンドワゴンシリーズの作者が描く、家族の物語です。
#kokkoさんの今日の本 #小路幸也 #ナモナキラクエン

【楽園の話を、聞いてくれないか】
そういった父さんは笑みを浮かべ、その続きを言う前に、そのままゆっくりと崩れ落ちるように、台所の古びた床に倒れた。五十六歳だった。あっけないほど、あっさりと。父さんは死んでしまった。
良く言えば自由な人。
悪く言えば勝手な人。
僕の名前は山(サン)、四人兄妹弟の長男だ。山紫水明、それが僕らの名前だ。山(サン)、紫(ユカリ)、水(スイ)、明(メイ)。
僕らの母親はこの家にいない。僕は四人とも異母兄弟だ。母親が全部違う。幸いなのかどうかそれは愛人とかそういうのではなくて、全部正妻のコドモ。つまり四度も結婚して離婚している。それでも兄弟は仲良くお互いを思いあって暮らしている。
父さんがつくりたかった楽園。
それはいったい何なのか。いなくなった母親に会いにいけるように、父さんは遺言を残してくれていた。会いに行ってもいいし、いかなくてもいい。自分たちで決めていいと。【名もなき楽園】の秘密を探して、僕たち一夏の旅が始まった。
自分たちの知らなかった父さん、自由人だった父さん、知れば知るほど、ああ、父さんだな、と思えた。
色々な事情があって、望まれなかった子供たちに幸せを与える。幸せな家庭というものを、ずっとそこで大きくなって、出て行ってからもいつでも戻ってこられる楽園。父さんが望んだ楽園。それは優しくてあたたかくて、涙が出るほどふんわりした居心地がいい場所だった。
文章の隅々から感じられる溢れんばかりの愛情に、笑顔になり優しい涙が出る、そんな家族の物語です。

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